明治43年に完成した岡山-宇野を結ぶ宇野線は、開通と同時に宇高連絡船が就航して以来、昭和63年の瀬戸大橋開通による連絡船廃止まで、四国への玄関口である宇野駅に乗客を運ぶ重要な路線でした。
この宇野線が田井駅付近で旧国道30号(現在は県道)をまたぐ地点に設置されたのがこの田井拱橋です。拱橋とはアーチ橋を意味しています。表面には花崗岩が貼り付けられており、内部は無筋コンクリートでできています。当時、鉄道院岡山建設事務所技師であった八田嘉明(1879~1964、後に鉄道大臣など歴任)によって設計されました。
鉄道構造物にコンクリートが使用されるのは当時珍しく、まだ、石積みや煉瓦が多用されていました。初期のコンクリート鉄道構造物としてたいへん貴重です。 出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会