倉敷市の美観地区を流れる倉敷川には3つの橋が架かっています。
一番上流のものは今橋と呼ばれています。一見、石造に見えますが、鉄筋コンクリート造の橋です。この橋は、大正15年、当時皇太子であった昭和天皇が倉敷を訪れた際、既存の石橋を下流に移築した上で、新たに架けかえたものです。そのため、橋の石柱には天皇家を象徴する菊の彫刻が、また、高欄(こうらん)には、画家の児島虎次郎(とらじろう)による竜の彫刻が見られ、装飾の多い芸術的な構造物となっています。
中橋は、倉敷考古館の前の石橋です。今橋に比べ単純な造りとなっています。中央部分がゆるやかに盛り上がっているのは、船の航行を考慮したためといわれています。この橋は約10mの川をまたいでいますが、その桁の長さは、現存する日本の石桁橋の中で最長を誇っています。
今橋と中橋は、ともに倉敷美観地区のシンボルとなっています。
出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会