~岡山の戦後復興と近代建築のシンボル~
<建築家>前川國男
岡山県庁舎は、戦災で旧庁舎を焼失した岡山の戦後にとって、復興のシンボルとなった明るく近代的な建築物であり、ル・コルビュジエに師事し日本近代建築の旗手である前川國男氏が手がけた初の庁舎建築です。本館は全面がスチールサッシュのカーテンウォールで覆われ、打放しコンクリートの柱梁と調和した、力強く軽快な外観が特徴。北側道路から広場・三層分のピロティをくぐり中庭に導く開放的なアプローチや、本館と議会棟を回廊と渡り廊下で結び、外部空間から内部空間へ流れるように続く平面計画は、親しみやすい民主的な庁舎の先駆けとなりました。
当時、前川氏は、「これからの県庁舎はいうまでもなく県民が明るく寛いだ気持ちで近づき、明快迅速に用件を処理する場所であるべきと考えたわけであります。建築物の形態は周囲の環境と相まって、その内外の空間の美しさを発揮した清新にして活動的な姿を現す筈であります」、「名実共に日本一の模範的県庁舎を実現する覚悟でおります」と説明しています。
県庁舎の近くには、岡山を代表する観光地で日本三名園の一つ岡山後楽園があります。少し足を伸ばせば、同じく前川氏設計の岡山県天神山文化プラザと林原美術館があり、前川氏の岡山での足跡を辿ることができます。