~国立西洋美術館に思いを馳せて~
<建築家>前川國男
東京都美術館や熊本県立美術館などを手がけた前川國男氏にとって、初めて手がけた美術館建築が林原美術館になります。長屋門をくぐり、緩やかな石段を上がり、エントランスに入ると正面に小さな竹林の中庭があります。展示室は、中庭の右手にL字に配置され、中庭を中心に左廻りに展示室からエントランスまで一巡できるプランとなっています。「プランに動きがなきゃいけない」、「プランを練っていくと良いプランは自然に一筆描きで描けるようになる」とは前川氏の言葉。回遊性のある一筆描きプランは、世界遺産にも登録されたル・コルビュジエ設計の国立西洋美術館に通ずるものがあり、コルビュジエに師事した前川氏ならではの計画です。また、外壁に使用されている焼き過ぎレンガは、その後に前川氏が手がけた打ち込みタイルの建築手法に繋がる意匠です。
林原美術館には、日本をはじめ東アジア地域の絵画・工芸品や旧岡山藩主池田家から引き継いだ調度品など、刀剣・武具・絵画・彫漆といった多くの美術品が収蔵されています。向かいには宇喜多秀家公築城の岡山城(現在のものは昭和41年に再建)がそびえ、旭川を挟んだその先には日本三名園の一つで岡山藩二代藩主池田綱政公築庭の岡山後楽園もあり、岡山の歴史を堪能することできます。