旭川河口に近い桜橋以南の左岸に、干潮時になると川の中央に向かってT字型の石積みが現れてきます。数えてみると、桜橋から旭川大橋の南まで8㎞の間に計19基あります。
ケレップとはオランダ語で水制を意味します。いったい何の目的で造られたものでしょうか。旭川は明治時代以後、定期的に蒸気船が運航していました。川は放っておけば上流から流れされてきた土砂で自然に埋まっていきます。そうなると船は航行しにくくなります。このT字型の施設は、そうならないよう、川の水深を保つ役割をします。
明治時代に児島湾干拓にもかかわったオランダ人のムルデル(1848~1901)が設置しようとしましたが実現せず、昭和になって国が工事を行い、完成しました。
旭川河口のケレップ水制のような規模のものは、濃尾平野を流れる木曽川のそれとともに、全国的にも珍しく、立派なものです。
出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会