~都市の広場の装置となる八角形の大ホール~
<建築家>佐藤武夫
岡山市民会館は、1,718席の大ホールのほかに会議室を備え、コンサート、舞踊、式典、学校の芸術鑑賞をはじめとして、市民の様々な文化活動・娯楽活動の場として利用されています。
大ホールの平面形状は八角形で、外壁は備前焼を連想させる渋色の焼成タイル張りです。設計者の佐藤武夫は、八角形の角に設けたスリット部分を、上部に行くほど幅広にして内側に傾斜させることにより、まるで壁面が角錐状に傾いたような錯覚を生み出し、建物全体の存在感を増しています。
大ホールのホワイエは、階段手摺や天井などが直線的なデザインで構成され、有孔ブロック積みの壁には色とりどりのモザイクガラスが嵌め込まれています。昼は自然光で内部を、夜は夜景として外部を演出しています。
南隣には、同じく佐藤氏が設計した1962年竣工の山陽放送会館があり、有孔ブロックで覆われた当市民会館の会議室棟と山陽放送会館とは同一のファサードであり、一体的に計画されています。佐藤氏は、都市の広場の理想に思いを馳せ、2つの建物の間に都市文化の象徴としての石畳の広場を実現しています。その視点からプランを読み解くと、相似形のファサードや、道標のような八角形の象徴的な大ホールも「広場」のための装置として浮かび上がってきます。