~樹木の隙間から子供たちの活動が見え隠れする校舎~
<建築家>C+A(シーラカンスアンドアソシエイツ)
吉備高原小学校は、岡山県の中央部に新都市として整備された吉備高原都市に初めて設置された小学校で、クリエイティブTOWN岡山(CTO)プロジェクトのひとつとして、CTOコミッショナー岡田新一氏に指名されたC+Aにより設計されています。
中国山地に囲まれた豊かな自然が残る中で、建築が主張することなく、樹木の間から子供たちの活動が見え隠れする場所をつくろうとする意図から、内部は、教室と廊下との間仕切り壁をなくし、教室、ワークスペース、中庭が連続的につながるオープンスクール形式となっています。同形式では、冬期の厳しい寒さでも、活動が妨げられないような場所のつくり方が重要であるため、温風を床下にも回し、外周部から吹き出すことで一体に暖める暖房システムとしています。建物の内・外を仕切る建具を引き込むことでその存在が消され、校長室のような管理諸室も中庭の一角に設けられた開放的な空間となり、子供たちが部屋の名前に拘束されることなく自由な発想で活動ができるような配慮がされています。また、接地性の高い校舎は小学校としての理想であること、吉備高原都市がバリアフリー化を目指していることから平家建てとなっています。
吉備高原小学校に隣接する吉備高原幼稚園もC+Aが設計していますが、ジャングルジム状の構造体である立体格子が大人には間仕切りとして目に映りますが、園児たちにとっては自由にその下を動き回れる寸法になっており、格子面に対し可動パネルを着脱することで自由な空間をつくりだすことができるようになっています。