海に面する笠岡市では、江戸時代末期から近代にかけて整備された防波堤や護岸などの海岸施設が多く見られます。 港には、「スベリ」と呼ばれる傾斜した石敷き道(荷揚場(にあげば))や、石積みの雁木(がんぎ)が小規模ながら残っています。また、航海安全や海難救済を願った金毘羅(こんぴら)宮の祠(ほこら)や常夜灯も、港や航路の随所に見られます。
茂平(もびら)の長大な防潮堤、住吉港の荷揚場、笠岡・伏越(ふしごえ)港の雁木、横島・神島水落(こうのしまみずおち)の防波堤、金崎橋(かなさきばし)付近の常夜灯、正頭(しょうとう)漁港の荷揚場・石段・防波堤などがその代表的なものです。こうした護岸施設は、島嶼(とうしょ)部にも見ることができます。
これらは、港・航路や人々の居住地などの安全を確保してきた重要な土木遺産の一つです。 出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会