室戸(むろと)台風は、昭和9(1934)年9月21日に高知県室戸岬から大阪市を通過して日本海へ進み、西日本各地に大きな被害を与えました。県内の各河川も大洪水となり、2,856橋が被災し、順次、復旧工事が進められました。昭和5年に高梁川に架けられていた旧水内橋も、この洪水で流失し、昭和11年に再度架けられ、現在に至っています。
この橋は、全長180m、幅員5.5mで、最大72mある支間(橋脚と橋脚の間)のゲルバートラス橋という形式を採用しています。この形式は、中流部の川幅が大きくなった地点で、主径間長(しゅけいかんちょう)を大きくしたものです。水内橋の支間長(しかんちょう)は、54m+72m+54mで、真ん中が最大です。昭和初期の戦前には、この形式の橋が多く架けられ、東京都の隅田川橋もこの形式です。
現在でも現役の水内橋は、地域の人々に「ゆったりとした橋」と評され、その姿を山あいの清流に映し出しています。 出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会