羽山(はやま)第1・第2トンネルは、大正8年に島木川沿いの県道宇治下原線に設置された素掘りの隧道です。古来から吹屋(ふきや)と成羽(なりわ)を結ぶ吹屋往来は、銅・弁柄(べんがら)・鉄等の諸物資が輸送され、備中北部の幹線として機能していました。
近代に入り、荷車・人力車等の車両交通の進展に対応するため、従来の尾根筋をルートとした吹屋往来に替わる島木川沿いの新県道が建設されました。その後、羽山渓沿いの緩傾斜道が必要となり、大正8年から約2年をかけて、岩盤を切り抜く隧道が掘削されました。この道路整備により、宇治下原線は、吹屋周辺の生活道路としての重要性がいっそう高まりました。
現在は「かぐら街道」等が開通し、交通量は激減しました。 出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会