倉敷市東部や早島町の周辺に広がる干拓地では、多くの石造の樋門を見ることができます。これらは大正期から昭和初期にかけて建設されたもので、当時の土木工事の様子と技術の一端を垣間見ることができます。
大正樋は六間川(ろっけんがわ)から帯高(おびたか)新田への取水口にある樋です。石材の中央部分を一段高く仕上げ、荒く加工することで石材の材質感を表現しています。大正10年10月竣工との刻銘が見えます。大正樋の少し下流には、倉水門(くらずいもん)と呼ばれる立派な樋門(橋を兼用)があります。
末崎樋門は浜川用水から六間川への排水調節を行う水門です。石材の表面を溝状に削り、あたかも石を積み上げたかのように縞(しま)模様を入れています。昭和10年12月竣工との刻銘があります。
これらの樋門は、小さいながらも地域の歴史や当時の技術を現在に伝える貴重な資料となっています。
出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会