岡山県北部は木材の産地です。その県北で切り出された木材は筏に組んで川に流し、かつては製材所のあった市内の兵団・石関町・中の島に係留していました。しかし、戦前期の旭川改修工事に伴って河岸の利用が禁止されたため、先に述べたケレップ水制と同時期に平井に貯木場が建設されました。貯木場は、上流から来た材木を一時貯めておく場所で、川中に石造りで長方形に造られています。ケレップ水制と見分けがつきにくいので、よく注意してみてください。
昭和50年代に、近くに岡山市の下水施設ができ、その樋門からの水を流す堤が貯木場を二分してしまいました。管理が大変であることや別の場所に貯木場ができたため、現在では使用されなくなりました。しかし全国的に見ても川の中の貯木場は大変珍しく、貴重な土木遺産です。
出典:「あなたの街の近代化遺産ガイドブック」岡山県教育委員会